フランスを代表する小売業者であるMonoprix(英語)は、ITインフラの近代化とデータサイエンスの能力向上を目的とした広範な取り組みの一環として、2020年初頭にDataikuの活用を開始しました。この移行は、TeradataからSnowflake(英語)への移行を含むクラウドベースのソリューションへの転換や、データチームの再編成と歩調を合わせたもので、データサイエンスの取り組みをより戦略的な統合機能の下に集約することを目指していました。
Monoprixのデータ民主化への歩み
Dataikuを導入する前、Monoprixのデータチームはマーケティング部門に所属しており、主に顧客関係管理(CRM)チームのサポート役として活動していました。チームは従来型のレポーティングやキャンペーン分析、ロジスティック回帰といった基本的なモデリング手法に主に取り組んでいました。データサイエンスに関する活動は全体のわずか5%にとどまり、チームのメンバーにとって不満の原因となっていました。
データサイエンスの台頭に伴い、Monoprixはデータ民主化のプロセスを進め、各部門が自部門のレポーティングを担当するデータアナリストを採用しました。その結果、同社にはすべてのデータサイエンス活動を統括する専門チームが必要となり、そこで登場したのがMonoprixのデータチームです。
マーケティングから中央管理へ
経営陣は、データチームをマーケティング部門から切り離し、全社を支援しながら、より高度なデータサイエンス能力を開発するために中央管理下に置くことを決定しました。
そのために、データチームは複雑化するデータプロジェクトに対応できる、より現代的でコラボレーション向きのツールを必要としていました。新しいツールを選定する際の第一の基準は、チームのオンボーディングがどれほど容易かという点でした。Dataikuの柔軟性とユーザーフレンドリーなインターフェースにより、他の選択肢と比べてスムーズな移行が可能となりました。
SASからDataikuへ
MonoprixのSAS EnterpriseからDataikuへの移行は、データエコシステムの近代化とレガシーシステムの廃止という必要性に駆られ、迅速に進められました。Dataikuへの移行は必ずしも容易な道ではありませんでしたが、より現代的でコラボレーション向きのツールを求めて、Monoprixはこの取り組みに踏み切りました。Dataikuを活用することで、Monoprixはより先進的なデータサイエンスや機械学習の手法を取り入れ、Dataikuが提供する幅広い生成AI機能も活用できるようになりました。さらに、Dataikuの採用により、特定のSASコーディングスキルを持つ応募者を必要としなくなり、採用活動の効率化にもつながりました。
移行と効率向上
有望なテスト段階の結果
チームがDataikuを使用して、当時外部プロバイダーによって開発、維持されていた最も複雑なモデルの1つを2か月間のテストで無事に再現した後、MonoprixはDataikuの継続利用を決定しました。2020年を通じて、同社は外部プロバイダーが扱っていたすべてのプロジェクトを社内チームに移行し続けました。
2021年と2022年には、データチームはDataikuを活用して他部門の支援を開始しました。例えば、需給予測を行い、店舗の在庫配置を最適化し、どの商品をプロモーション対象とするかをより的確に把握できるようサプライチェーン部門を支援しました。また、店舗の活動状況に応じて必要なレジ係の人数を予測することで、人事部門も支援しました。
2024年には、データサイエンスチーム、商業データアナリストチーム、サプライチェーンデータアナリストがすべてDataikuを活用しています。
生産性と財務上の成果
SASからDataikuへの移行により、生産性の大幅な向上と財務面でのメリットがもたらされました。Dataiku導入前は、日々の集計更新のような単純な作業であっても、多くの定型業務に手作業での介入が必要でした。Dataikuの活用により、Monoprixはこれらのプロセスの多くを自動化でき、チームはより付加価値の高いプロジェクトに注力できるようになりました。例えば、以前はデータをキャンペーン管理ツールに送信したり、その他のキャンペーン関連業務に全体の50〜60%の時間を費やしていましたが、現在ではDataikuを活用することで、キャンペーン管理業務に費やす時間はわずか5%となっています。
これらの生産性向上に加え、Monoprixは外部プロバイダーが開発、保守していたすべてのプロジェクトを、追加採用を行うことなくDataikuを活用して完全に内製化することができました。3〜4人のデータサイエンティストが複数のプロジェクトに携わっていた外部プロバイダーを排除したことで、年間で数百万ドル規模の大幅なコスト削減が実現しました。
組織的なコラボレーション
Monoprixは、Snowflake(英語)を活用してデータの取り込み、保存、処理を行い、Dataikuを分析およびデータサイエンスのレイヤーとして使用することで、データが適切に取り込まれ、チーム間で利用できる状態を確保しています。これにより、サプライチェーンや商業分析といった部門間での協力体制が促進されています。すべてのチームがまだDataikuにアクセスできるわけではありませんが、Monoprixは全社的なコラボレーションを推進しています。
今後のプロジェクトと生成AI
将来を見据え、MonoprixはDataikuを活用して生成AIの可能性を探っています。同社は現在、これまで手作業で行っていたウェブサイト上の製品説明文の生成を自動化するA/Bテストを実施しています。初期結果は有望であり、AIが生成したコンテンツは新たなアイデアの提供や、製品説明文を担当するチームのワークフローの効率化に貢献しています。
Monoprixは革新への注力を続けており、AIモデルの比較を行うプロンプトスタジオや、LLMメッシュ機能のさらなる活用など、Dataikuのより高度な機能の探索を進めています。