Clayco(英語)は、商業、公共、産業、住宅の建築プロジェクトにおいて、迅速かつ効率的なソリューションを提供する、建築の技術と芸術を専門とする企業です。常に革新を続け業界をリードするClaycoは、意思決定の改善、プロジェクト効率の向上、そして顧客へのさらなる価値提供を実現するために、データサイエンスを活用して予測手法を刷新しました。
データサイエンスや機械学習(ML)、AIへの投資以前、Claycoの予測業務のほぼすべては、スプレッドシート上で手作業かつアドホックに行われていました。組織内にデータサイエンス機能を構築した後、このプロセスを近代化かつ最適化し、企業に実用的なインサイトをもたらす信頼性が高くスケーラブルな予測を生成することを目指しました。
最初の取り組みは、キャッシュフローの予測でした。多くの企業と同様に、Claycoの手元資金(COH)がプロジェクト業務の前払費用やその他の短期的な財務負債を賄えない場合、信用枠を利用する必要があります。一方で、過剰に現金を留保すると、将来の事業成長につながる投資機会を逃すことになります。
機械学習やAIによって予測業務を合理化する以前、Claycoは単純なスプレッドシートの計算式で手元資金(COH)を推定していました。これまでの手法は、多角的なインサイトを欠き、組織全体で活用されず、スケーラビリティーもなく、検証やモニタリング機能も備えていませんでした。
Claycoのデータサイエンスチームには2つの目標がありました。
- 手元資金(COH)を推定するためのアジャイルでスケーラブルかつ信頼性の高いモデルを提供する。
- たった2名のデータサイエンティストと1名のインターンからなるチームでスタートし、将来的な成功に向けたデータサイエンスの実践体制および必要なインフラの構築に取り組みました。
Dataikuによる既存業務の変革
Claycoのチームはすぐに取り組みを開始しました。データサイエンスの未導入状態から、インサイトを提供する本番稼働モデルの構築に至るには、バックエンドのインフラを管理し、柔軟なモデリング手法をサポートし、既存のシステムやプラットフォームと統合できるプラットフォームが必要であることを理解していたのです。
彼らはDataikuという理想的なパートナーを見つけました。DataikuのプラットフォームはClaycoの成功に必要な要件に適合していただけでなく、同時にデータサイエンスの実践体制の拡充にも集中できる環境を提供しました。
驚くべきことに、同社はわずか4か月足らずで自社独自のユースケースを実装することができました。この成功は、Dataikuに搭載された機械学習機能によるものだと評価しています。
Dataikuプラットフォームに用意されたノーコード機能を活用し、未回収請求書の回収に要する期間を分析する従来のスプレッドシートベースの予測を置き換えるために、XGBoostモデルを設計しました。また、DataikuのPythonレシピで提供されるフルコード機能も活用し、イレギュラーなケースにタグを付けてレビュー対象とするカスタムのサバイバルモデルを導入しました。本番環境に移行した後は、Dataikuのシナリオ機能(英語)を使ってスコアリング、再学習、モニタリングを自動化し、Claycoの次の課題に取り組むための時間とリソースを確保しました。
既存のテックスタックとDataikuを統合できたことで、業務フローの合理化は大幅に容易になりました。
Dataikuに備わるGit対応機能やGitHubリポジトリとの連携機能は、Claycoチームの業務フローに大きく貢献しました。これにより、複数のタスクを同時に進行し、バグを早期に発見し、厳格なピアレビューを実施することが可能となりました。実際、Dataikuはモデルのデプロイを安全かつ信頼性の高いものにしました。Dataikuの設計、ステージング用自動化、オートメーションノード、ローカルデプロイヤーにより、開発―テスト―本番という流れを自然に支援し、Snowflake(英語)のテスト環境や本番環境とも容易に接続できました。これにより、チームはダウンタイムやパフォーマンス低下のリスクを抑えつつ、自信を持って変更をデプロイできるようになりました。
このアーキテクチャーは、成長、責任感、そしてコラボレーションを重視するチーム文化の醸成につながりました。
データサイエンスチームは、自身の成果を他部門と共有するためにもDataikuを活用しました。モデルのスコアをダッシュボードに渡す前に、Dataikuで前処理を行い、有用なインプットへと変換することで、ビジネスインテリジェンスチームとの連携をより有意義なものにし、経理チームがモデルから得られたインサイトを容易に解釈し、アクションにつなげられるようにしました。
コラボレーションの向上には、Dataikuのローコードおよびノーコードツールも寄与しました。これにより、ジュニアのデータサイエンティストやインターンも早期かつ継続的に価値ある貢献ができるようになりました。さらに、Dataikuのチュートリアルを活用することで、ユーザーはスキルを容易に向上させ、より高度なデータサイエンス業務への入り口とすることができました。
新たなデータサイエンスの標準
Claycoがデータサイエンスの基盤を強化、拡充するために行った初期投資は、社内の各チームに確かな成果をもたらしています。Dataiku上のモデルのおかげで、経理担当者はスプレッドシートから予測を組み立てる作業にかける時間が減り、カスタムダッシュボード上のインサイトや予測と向き合う時間が増えました。これにより、より最新かつ正確な情報に基づいて行動できるようになり、Claycoのキャッシュフロー管理の改善につながっています。
以前は、1件のレポートを作成するのに経理担当者が1か月を要していましたが、機械学習版により作成時間が大幅に短縮され、現在では週次でレポートを作成できるようになりました。また、経理担当者はモデルから得られるインサイトと自身のドメイン知識を組み合わせて、問題のあるケースを特定し、解決しています。
小規模ながら強力なデータサイエンスチームが経理部門のために実現した取り組みを知るにつれ、Claycoの他部門でも自部門の予測ユースケースの構想が進み、機械学習やAIを活用して課題解決に取り組むべく、チームとの連携を望む声が高まっています。
この最初の予測プロジェクトは、データドリブンな意思決定への道のりにおいて大きなインパクトをもたらしました。キャッシュフロー予測の作成頻度は、従来の4倍にまで増加しています。
Claycoのデータサイエンスチームは、すでに次の展開を見据えています。Dataikuのおかげで、さまざまなプロジェクト間でプロセスやコードを再利用することが容易になりました。もはや機械学習モデルの構築やデプロイの「方法」に頭を悩ませることはなくなり、「何を」ビジネスの価値として生み出すかに集中できるようになっています。
データサイエンスの取り組みを通じて、Claycoの従業員は機械学習モデルの構築と運用に関する新たなスキルと理解を習得してきました。彼らは今後のプロジェクトに向けたテンプレートや再利用可能なコンポーネントの特定方法も確立しており、これらすべてが、現代の分析領域におけるClaycoの競争力をさらに高める要因となっています。
Claycoは、自社のデータ戦略を革新し続けることに尽力しており、意思決定の質を高め、手作業を削減する強力なデータカルチャーを実現するうえで、データサイエンスが重要な鍵であることを実感しています。Dataikuは、Claycoのデータサイエンスチームがさらなる成功を収め、成長を促進し、データ活用の取り組みをリードできるよう支援する、極めて重要で明確な価値をもたらしました。