マーケティングソリューションのグローバルリーダーであるEpsilonは、小売、製薬、旅行などの業界横断的なクライアントに対して、パーソナライズの提供方法を刷新しようとしていました。その目的は、単に高性能な機械学習(ML)モデルを構築することではなく、ブラックボックス型のソリューションを回避し、モデルのパフォーマンスとビジネス成果の両方に可視性を持たせるという透明性の高いアプローチで実現することでした。
チームは、透明性と成果の可視化を求めるクライアントの要求を満たしながら、AI製品の開発を加速させるための柔軟かつエンタープライズ対応のプラットフォームを見つけるという課題に直面していました。8年以上前に、その解決策は明らかになりました――それが、ユニバーサルAIプラットフォームであるDataikuです。
なぜDataikuなのか――透明性、スピード、スケーラビリティー
ブラックボックス化させず、力を引き出すプラットフォームの選定
Epsilonは、ブラックボックス型のAIプラットフォームを採用するという考えを否定しました。同社には、エンジニアリングチームやアナリティクスチームに対して、可視化機能、明確なワークフロー、そして多様なクライアントのニーズに対応できる柔軟性を提供するソリューションが必要でした。Dataikuはこの要件を満たし、最高水準のモデル開発ツールに加えて、社内関係者およびクライアントに求められる透明性も備えています。
ソフトウェアのROIを超えて
多くの企業とは異なり、EpsilonはソフトウェアのROIのみに基づいたビジネスケースを構築しないという方針をあえて選びました。その代わりに、Dataikuを大工にとっての金槌のような不可欠なツールと位置付けました。つまり、それは熟練した人材が使って初めて、意味のあるビジネス成果を生み出す価値を持つものなのです。
インパクトの創出:エンジニアリングからクライアントの成功まで
当初はエンジニアリングチームによって導入されたDataikuは、すぐにEpsilonのアナリティクスチーム全体に広まりました。コード中心のユーザーとコード不要のユーザーの両方をサポートする柔軟性と使いやすさが評価され、部門間の導入障壁を乗り越え、活用の拡大につながりました。
DataikuはEpsilonの意思決定エンジンとなり、多岐にわたるクライアント向けのパーソナライズプログラムの中核を担う存在となりました。EpsilonはDataikuを通じて、機械学習の成果を、クライアントにとっての売上成長、顧客エンゲージメントの向上、業務効率化といった主要なビジネスKPIに結びつけています。
課題の克服:チェンジマネジメントと透明性
メリットは明確であったものの、チェンジマネジメントには課題が伴いました。
- チームをレガシーツールから移行させるために必要なプロセスの変更
- 経験豊富なデータサイエンティストの間に存在する、ローコード/ノーコードツール導入への文化的な抵抗感
- 最新のAIワークフローに対応した新たな人材プロファイルの採用
さらに、Dataikuの透明性により、コンプライアンスやガバナンスの要件を満たしやすくなりました。マーケティングの文脈では、モデルがどのように機能しているかを理解することが、その結果と同じくらい重要であるため、これは不可欠な要素です。
今後Epsilonは、Dataikuの活用範囲をメディア運用や広告購買業務にも拡大し、同プラットフォームを収益の中核を担う活動にさらに深く組み込んでいく予定です。またEpsilonは、社内のデータサイエンティストが本番環境で稼働中の既存モデルを上回る成果を競い合う「チャンピオン/チャレンジャー」プログラムも開始しました。勝利したモデルは実際に採用され、評価も得られる仕組みにより、イノベーションを促進し、クライアント成果の向上にもつながっています。
Epsilonは、Dataikuをエンジニアリングおよびアナリティクス機能に深く統合することで、スケーラブルで透明性が高く、インパクトのあるAI運用体制を構築しました。その結果として、より迅速なイノベーション、クライアントのROI向上、そして次なるAI主導のパーソナライズと意思決定の波に備えた強固な基盤が実現されています。