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Standard Chartered Bank: FP&Aにおける集合知の活用

Digital MIチームに導入されたDataikuのアプリケーションを利用することにより、これまでスプレッドシートのみを使用して約70人で行っていた業務を平均2名で遂行できるようになりました。つまり、スプレッドシートを使用するプロセスを、ガバナンスされたセルフサービス型分析に置き換えることで、アナリストの生産性が30倍向上したことになります。

2人

のチームがスプレッドシートで7人分の仕事をこなす

30倍

アナリストの生産性の向上

12

Dataikuを利用する銀行ないのコミュニティの数

銀行業務では、多種多様な価値あるデータが扱われ、その量は日々増大しています。現在ではさまざまなデータを容易に収集できるようになりましたが、収集したデータをどのように効率的に活用し、業務遂行の改善に役立てて、真のビジネス成果につなげるかが課題となっています。


Standard Chartered Bank Plan to PerformP2P)データ
戦略およびデリバリー部門責任者である Craig Turrell 氏もこの課題に頭を悩ませていました。彼の財務計画および分析(FP&A)部門だけでも、400 人を超えるスタッフが毎月5,000 種類におよぶ情報を生み出していますが、このうち90% は自動化できるものです。ここでは、Craig 氏とそのチームが FP&A の業務を変革し、データを活用することでより多くの疑問を迅速に解決できるようになった事例をご紹介します。

“私の目標は、当行のレポート作成方法を変革することです。当行では非常に優秀な会計士を雇い、彼らに Dataiku を提供していますが、優れた報告書が作成されています” Craig Turrell Head of Plan to Perform (P2P) Data Strategy & Delivery at Standard Chartered Bank

課題:1,000 万行から4 億行へと増大するデータ

FP&A は、銀行の主な財務諸表から、構造的な体系まで、さまざまに絡み合う要素を視野に入れながら業務を行っています。FP&A には、過去 5 年間の実績や今後 5 年間の予測に基づく特異的現象やトレンドの特定、貸借対照表の分析、コスト分析により複雑な疑問(銀行の利益に貢献している分野や収益構造、銀行業務の実態、コストプロファイルを考慮した雇用すべき人材や人材の配置方法など)を解決するといった業務があります。

もちろん、このような作業のためのシステムが何年も前に導入されていますが、分析能力は 1,000 万行のデータに限られていました。1,000 万行と聞くと大量のデータを処理できるように思うかもしれませんが、同行の 10 の主要商品や主要国のマーケットの詳細について、1 レベルまたは 2 レベル掘り下げ、約 3 ヵ月間の基本的な勘定構造を分析するだけでもすぐに 1,000 万行を超えてしまうため、分析をいくつかに分けて行う必要がありました。

“ごく簡単な計算です。2つの勘定体系×2つの通貨×150カ国×1,000のコストセンター…私たちは5億もの「動く部品」にまつわる問題の管理を任されていますが、常にその全体像の10%程度しか把握できていませんでした” 

当時設計されたのは、最高幹部向けのシステム(中心となる CFO が参照するレポートやデータをデジタル化したシステム)でした。しかし Craig 氏は、このようなシステムでは銀行の業務改善につながらないと感じていました。日々行う財務分析に役立ち、効率的かつ効果的な業務遂行を実現できるシステムが必要でした。

この問題について検討した Craig 氏は、主な課題はデータ量にあることに気づきました。当時処理できるデータ量は 1,000 万行でしたが、これを 4 億行に増やす必要がありました。基盤となるインフラストラクチャーの問題というわけではありませんでした。実際、堅牢な計算処理能力を持つウェアハウスが整備されていたのですが、ほとんど誰も活用していなかったのです。Craig 氏はこの既存のエコシステムを何とか利用したいと考えました。

“当時存在したのは単なるデータレイクで、データの変更、利用、モデル化など、データに対して何か操作を行うためには、そこからデータを取
り出す作業が別途必要でした。そのためうまく活用できていなかったの
です。100 万ドルを超えるコストをかけたテラバイトレベルの計算処理能力を持つウェアハウスなど、非常に優れた大規模なインフラストラクチャーを導入しているにもかかわらず、その能力を 3% しか活かせていませんでした。このエコシステムを有効に活用しない手はありません” 

解決策:Dataiku を使用した集合知

Craig 氏は、ただ単に既存のインフラストラクチャー資産を活用できるだけでなく、今後数年でチームの成熟度が高まり、機械学習を使用してデータを分析するようになった場合でも対応できるソリューションが必要だと考えていました。そこで見つけたのがDataiku です。Craig 氏の言葉を借りると、「データ量の課題をただちに解決できるソリューション」が Dataiku でした。

“Dataikuを導入した当行では、まずその実力を確かめることにしました。3 週間か 4 週間のうちに、45 億行ものデータを含むテーブルを一度の操作で処理することができるようになりました。まるでデータを使って折り紙をしているようでした。プロセスを次々に折り重ね、非常に短時間でデータ処理を改善するという当初の目標を達成できたのです。さらに、Dataiku を導入したことで、想像もしなかったメリットも生まれています。かつては多数のスタッフがデータのコピーと貼り付けを繰り返している状態でした。Dataiku により、このような作業が不要になり、データについてさまざまな角度から検討する余裕が生まれました” 

“Dataikuでは、エコシステムに展開されている既存の計算能力をシングルオペレーションで利用できます。それがどこにあろうと場所は問いません。非常に優れたテクノロジーです。少量のデータから非常に大量のデータまで処理でき、グラフィカルな表示が必要な場合にも対応できます。組織の成熟度が高まると、単に大量のデータを処理するだけでなく、そこから価値を引き出す必要が生じます。Dataiku はそのようなニーズにも対応できる高い柔軟性を備えています”  Craig Turrell Head of Plan to Perform (P2P) Data Strategy & Delivery at Standard Chartered Bank

Dataiku 導入後最初の 9 ヵ月間で、彼のチームは FP&A に関連するユースケースを数多く生み出しました。Dataiku は高い柔軟性を持っているため、さまざまな作業を自由に行うことができましたが、その自由さゆえに、次のステップでは、実際の業務に組み込むための体系化されたアプローチを用意する必要がありました。例えば、データパイプラインがルールに則ったものになるようにし、SLA を設定し、より厳格な DataOps プロセスを用意する必要ありました。Craig 氏は、Dataiku はその点でも威力を発揮し、これこそが他のプラットフォームにはない特長だと述べています。非常に高い自由度を備えつつ、構造化やプロセスの策定を容易に進める機能も用意されているのです。

Dataiku を導入して 1 年が経った 2021 年現在、Craig 氏とそのチームは、Dataiku を使用して同行における 3 つの主要なシステムを稼働させ、銀行のすべての財務状況を示すTableau ダッシュボードを毎日更新しています。かつてはこのような作業をすべてスプレッドシートで行っていたため、非常に手間がかかっていました。また、組織全体で利用できるデータマーケットプレイスを開発しました。データマーケットプレイスのデータを他のデータと組み合わせることで、データからさまざまな疑問への答えを導き出すことができます。例えば、データマーケットプレイスの貸借対照表にリースデータを組み合わせて分析し、資産のコストを把握できます。

Craig 氏は現在、データの民主化(セルフサービス型分析)の仕組みを独自に開発しています。各個人が自由勝手にデータを処理し、好きなように利用するのではなく、銀行全体のインテリジェンスを構造化された形で所有するセンターオブエクセレンス(CoE)を目指します。それぞれにプロダクトオーナーが存在するあらゆるデータセットからなる均質なプールをベースとした、ガバナンスの定義されたエンタープライズレベルのデータで、そのデータを組織全体で活用できるようにします。このデータを基盤に、中核となるアプリを通してデータに基づき答えを導き出せるようなエクスペリエンスを構築し、組織全体のスタッフがそれらのアプリを柔軟に使用してビジネスで発生する日々の課題を解決できるセルフサービス環境を目指しています。

“セルフサービスの自由度が高すぎても、求める答えを得ることができません。飛行機に乗るのに、荷物の予約と座席の予約を別々のアプリで行うと考えてください。自由度は高まるでしょうが、手間ばかりかかります。かつてはデータの民主化を実現できていたものの、さまざまなアプリが乱立していました。3 年の間に500 もの異なるアプリを構築した部門さえありました。どのアプリを使えばビジネス上の疑問に答えられるか、手掛かりさえない状態でした。そのため、誰もデータを活用できていませんでした。今では Dataiku を通し中核となるデータセットを利用でき、セキュリティーも万全です。手当たり次第にアプリを作成することをやめ、中核となる一連のアプリを用意することで、真の柔軟性を実現し、さまざまな疑問に答え、問題を解決できるようになりました

現在、CoE 16 人のメンバーで構成されていますが、今後 30 人に拡大する予定です。数年後には、数百人のスタッフで増大するデータのニーズに対応し、引き続きビジネスの効率性向上に取り組みます。

結果と次のステップ

現在、行内で 12 のコミュニティーが Dataiku を利用しており、CoE の中核となる構造化されたインテリジェンスを活用する仕組みを構築しています。Dataiku を利用することにより、これまでスプレッドシートのみを使用して約 70 人で行っていた業務を平均2 名で遂行できるようになりました。引き続き Dataiku を活用してスタッフのスキルアップを図りつつ、Standard Chartered Bank のさらに多くの領域で効率性向上を目指すことが、今後数年の目標です。


今後 Craig 氏とそのチームでは、FP&A 部門において、中 / 短期(3 ヵ月から 1 年)での
予測に重点を置いた予測分析の活用を推進する予定です。そのビジョンは「スーパーマインド」を目指すというもので、すなわち、独立したスマートなエージェントが共に働くグループを構成し、インテリジェンスのベンチマークを生み出します(例えば、独立した 10 台のマシンがそれぞれ予測をはじき出すとすると、それらの予測を総合的に考慮すれば、現実に近いものになるという考え方です)

Dataikuでは、ディープラーニングや、機械学習の幅広い選択肢を活用でき、またこれらを一つの場所で組み合わせて利用できます。集合知を構築できるさまざまなプラットフォームから当行が選んだのが Dataiku でした。多くのスタッフやマシンの英知を結集して、それらを効果的に管理できるのが Dataiku です 

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